山田さん的非日常生活

「…あ」


曲がり角の手前まで来たとき、あたしは思わず声を上げてしまった。

目についた家具屋さん。シンプルで洒落た雰囲気の店内。

ショーウィンドーにディスプレイされている家具は、いかにも外国から取り寄せたみたいでとても可愛い。


「どうかしましたか?」

「ん?んー、こんなとこに可愛いインテリアショップあったんだーって思って」


木彫りのテーブルの上にまるで一軒家のリビングを再現するように置かれた食器。

その一個一個見てみても山田家のものとは大違いだ。山田家の食器は揃いも揃ってメイドインチャイナ、フロム100均である。

原色じゃない、何色も混ぜた他にないような色のカーテンに散らばる模様。それとお揃いの柄のクッションがイスの上に乗っている。

それに引きかえ、山田家のクッションは母の手作り、おまけに破けた部分にはチューリップのアップリケが貼り付けてある。


将来住むならこんな可愛い部屋に住めたらなぁ…。

そんなことを思ってショーウィンドーの前に立ち尽くしていると、


「将来、こんな雰囲気の家に住みたいですよね」


すぐ隣で、そんなカボの言葉が聞こえた。

ビックリして目を丸くする。心の中がそのまま声になったのかと思った。


カボも、おんなじこと思ってたんだ。


「山田さんは将来使うならどのテーブルがいいですか?」

「え?…うーん…あたしは──」

「あっ!!ちょっとストップ!!」

「うぐっ!?」


いきなりカボに目隠しされて思わず変な声が出た。

…質問しといて一体何なんだ。

睨みつけると、やっぱりそこにはキラッキラした瞳がふたつ。


「いっせーのーで!で指差しましょう、お互いが気に入ったやつ!!」

「はい?」

「もし同じだったらなんか嬉しいじゃないですか!!」


…いやいや逆にもし違ったら気まずくないですか。

楽しくて仕方ないといったような様子のカボ。

つられて、「いっせーのーで!!」で慌てて指を差す。


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