山田さん的非日常生活

街デートで手を繋ぐなんて、一度もしたことなかったのに。

だってそんなの、「あたしたちカップルです〜」って主張してるみたいじゃん。いや、たしかに付き合ってますけど!!


まだまだ修行が足りないのだろうか。嬉しさより、恥ずかしさの方がどうしても勝ってしまうのは。


「わっ、すみません!!」


繋いだのは無意識だったのか、慌ててあたしの手を放すカボ。

急に放されたあたしの手が、ブランと下に垂れた。


「山田さん、こういうの苦手なんですよね」

「…え…、と」

「すみません!!」


そう言うと、カボは右手のひらで顔を覆った。


…ちょっと顔が赤いのは気のせいだろうか。

前から思ってたけど、カボの照れるポイントがさっぱりわからない。

砂糖何杯入れるのかっつーくらいあっまいセリフをサラリと言いのけるくせに、さっきだって自分から手を握ったくせに。


カボはちょっといつもより早歩きで、顔に手を当てたまま言った。


「…多分、今日すんごくはしゃいでるんです」

「え?」

「…嬉しくて。クリスマスイブとか、そういう特別な日を山田さんと過ごせるのがこう…なんて言うか、うまく言えないんですけど」

「…………」



もう、ほんとに。


負けだと思った。完敗だ。何ちょっとかわいいこと言っちゃってんのバカ。そういうセリフは女の子に残しとけよ、残されても絶対言えないけど!


相変わらずちょっと早歩きのカボに小走りで追いつく。

振り返ったカボは、まだちょっと赤かった。


「べ…つに、苦手じゃ…」

「え?」


なぜか尻すぼみになっていく声。

カボはそんなあたしに、不思議そうに首を傾げて見せる。

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