山田さん的非日常生活

あたしなんてその反対だ。平凡が平凡な料理を作れるならまだしも、平凡が卵の無駄使いと黒こげオブジェを作るくらいしかできないなんて全くの逆効果じゃないか。

ケーキ手作りする、なんて言うんじゃなかった…。

あたしががっくり肩を落としていると、命令口調の足立の声が飛んできた。


「さっさとコンビニにでも卵買いに行ってこい」

「…ハイ」


最近、足立に敬語を使ってしまうことが多い気がするんだけど、気のせいだろうか。

とにかく仕上げないことには、クリスマスイブは明日なんだから。


結局、クリスマスプレゼントはケーキと、ストラップを渡すことにした。

街を練り歩いて、たまたま目についたストラップ。先にシンプルなシルバーのかぼちゃがついている。

高級そうに見えるのに、よく見たらモチーフがかぼちゃっていうなんともカボにピッタリな品である。

…悩みに悩んで買ってきたけど、これでよかったのかな。

時計とかあげたかったけど、高校生のお小遣いじゃ中途半端なモンしか買えないし。


ケーキはともかく、とうとう待ちに待った明日だ。たかがクリスマスイブ、されどクリスマスイブ。

カボと一緒に過ごせることに、柄にもなく浮き足立ってる。


…いいクリスマスになるといいな。


ソファーに足を投げ出して、我が物顔でくつろぐ足立。今日はもしやうちに泊まっていくつもりだろうか。

ペラペラと雑誌をめくるその姿に背を向けると、焦げた匂いのする我が家を後にした。












.