山田さん的非日常生活

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「………」

「………」

「山田…あんたさぁ、何がどうなってこういう結果になるわけ?」


…そんなの、こっちが聞きたい。

クリスマスイブ前日の23日。天皇誕生日だから休日で、ちょうど冬休みに突入した今日、あたしはいそいそとクリスマスケーキ作りにいそしんでいた。

昼過ぎから始めて、そして失敗を重ねて焼きあがった三度目のチャレンジ。


あたしの手に乗っているのはケーキではなく、怪しい黒こげのオブジェである。


「分量、あたしが計って置いといたやつ使ったよね?」

「…ハイ」

「卵、砂糖、バター、生クリーム…どう混ぜてもおいしく仕上がるはずだと思うんだけど」

「……そう、ですよね…」


足立は頭を抑えて近くのソファに倒れ込んだ。

あたし一人じゃ心配だからと、足立が手伝いに来てくれていたのだ。

男衆をも蹴散らす足立だが、なんとこれまた料理の腕はピカイチ。得意料理は肉じゃがという家庭的な一面を合わせ持つ女なのである。


「あーもう!次はあたしが目を離さず監視しとくからもっかいやり直し!!」

「あ…足立…?」

「何!?」

「卵、無くなっちゃったんですけど…」


一回目は材料をボールごとひっくり返し、二回目はバターを分離させてしまった上にハンドミキサーをうまく操れずに生地が飛び散り、三回目はオーブンまではたどり着いたものの、ケーキじゃなくなっていた。

卵消費量、2×3で6個。


「…あんたほんとに料理の才能ないわよね」


…改めて言われなくてもわかってる。

外はいつの間にかもう暗くなっている。

夕飯時にさしかかっていたが、お母さんはあたしが何かを作ると聞いた時点で台所を使うのを諦めていたようだ。

久しぶりにピザでも頼もうかしら、なんてウキウキしながらチラシを眺めていた。ちゃっかりミミにチーズが入ってるやつ頼んでるし。だから太るんだ。

あたしもせめて、足立みたいに料理がうまかったらよかったのに。

男勝りでギャルっぽい足立だけど、いっつも爽やか真面目くんを彼氏としてゲットしてくるのはいわゆるギャップ効果ってやつに違いない。

まるっきり料理とは無関係そうなのに、実は家庭的だなんて。

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