山田さん的非日常生活

窓ガラスの向こうはもう真っ暗。黒は黒でも、寒々しい冬の黒だ。

通り過ぎる住宅のいくつかは、クリスマスらしくライトアップされている。

…カップルって、どっちをメインにする方が多いんだろ。テレビの特集かなんかでアンケート集計してくれればいいのに。

うんうん悩んでいると、あたしの顔を覗き込んでカボが言った。


「24日にしましょうか」

「へ」

「山田さんに早く会いたいので」

「────!!」


間近でそんなことを言われて、一気に顔が火照る。

校門に迎えに来たカボがまるでホストに見えたこともあったけど、カボはほんとにホストになれるんじゃないのかな。

こうやって甘ったるい歯の浮くようなセリフ、サラリと言いのけてしまうんだから。

いちいちあたしのツボをついてくるの、ほんとにやめてほしい。


「真っ赤なおーはーなーのー」

「へ」

「トッナカイさーんーがー」

「え、…えっ、なに!?」


ハンドルを切りながら、いきなり口ずさむカボ。

いつもの鼻歌じゃないけど、なんだかとても機嫌が良さそうだ。


「いえ、何か急にクリスマスな気分になってしまって」

「…あ、そう」

「いっつもみーんーなーのー」

「………」

「わーらーいーもーのー」

「…もういいよ」


…前言撤回。

カボはもうちょっと違う職業の方がいい。いきなり赤鼻のトナカイを歌い出すホストなんて、誰も指名しない。


いつの間にか、あたしたちを乗せた車はあたしの家の近くに着いていた。

あっという間だ。カボといる時間は、長いようですごく短い。


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