山田さん的非日常生活

バン!と叩きつけるような音を立ててバックに飛び込む。

…告白?

あたしが聞いてるってわかってて、なんだその宣戦布告の態度は。

苛立つと同時に不安が込み上げてきて、いつの間にか勝った不安は自分の中で膨らんでいく。


大丈夫だ、大丈夫。

だってカボは、あたしのこと好きだって言ってくれるもん。あたしだって──


"好き、の一言くらい言えないでどうすんの"


「………」


…ほとんど言ってねぇよ。カボに言われて、「…あたしも」ってボソッて言うくらいだよ。自分から言ったことなんて…


ある?


ブオン、と音を立ててすぐ後ろにある冷蔵庫が冷気を発し始める。

世の中の男陣に問うたとしよう。もしめちゃくちゃ可愛い子とド平凡日本人体型女、どっちをとるかって言われたらもちろんめちゃくちゃ可愛い子に決まってる。

これだから男ってヤツは。顔ばかりが女の良さじゃないっつの。じゃあめっちゃカッコいいスレンダー男性と「お前って首伸ばした時のカメの顔に似てるよな」って言われる男とどっちとる?…って言われたらそりゃ前者ですけど。しょうがないじゃん世の中顔なんだよお母さんのバカ!!


「はあ……」


あたしのため息にかぶさるように、ロッカーから携帯のバイブ音が聞こえてきた。

この音はあたしの携帯だ。

監視カメラから映し出されるレジ前の映像では、まだ店長と梢さんが楽しそうに話している。

あたしだけ真面目にやるのもしゃくだ。バイト中だけど関係ないし。

なかば半ギレ状態で携帯を開いてメールをチェックする。


…メールは、カボからだった。




『山田さん、バイト終わってから少し会えませんか?』


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