山田さん的非日常生活

…まぁ確かに、非凡なのは認めるけど。

カボは目立つし外見も整っているのはわかる。
でもカボのあまりにも飛び抜けた中身を知ってしまっているせいか、あたしの中のカッコいい男性像とはどうもズレてしまっているのだ。


「プリクラとか無いわけ?」


よく効いている暖房のせいで頬が火照る。手のひらを当てるあたしに、足立がそう聞いてきた。


「あ〜…旅行の時の写真ならある、けど…」

「提出」

「…ハイ」


…さすが元レディース総長の娘。有無を言わせぬ迫力である。

促されてカバンから手帳を取り出すと、その中に挟んでいたカボとのツーショットを渡す。

この前に旅行に行った時の分だ。

足立は飛びつくように写真を奪い取ると、感心して目を見はった。


「…ほんと、山田一体どんな裏技使ったわけ?」

「裏…っ、使ってない!!だいたいあたしから告白したわけじゃない…し…」

「はぁ!?」


足立の素っ頓狂な声に周りにいたお客さんたちが一斉に振り向く。

あたしの頭から爪先まで、かっぴらいた目のまま透視できるんじゃないかっていうくらいじっくり見つめる足立。


「…あのね、山田」

「……ハイ?」

「今まで信じてなかったけどさ…世の中には"奇跡"っていう言葉があるんだね…」

「………」


…喧嘩、売ってるんですかね?いや、間違っても足立相手に買ったりとかしませんけど。返り討ちにあうの目に見えてますけど。ホラ、あたしって草食系女子だからさ、そういうハイリスクなことはしないわけ。当たって砕けろみたいなそんな無謀なことは──


「ふ〜ん」


いつの間にやらあたしを見つめる足立の目がにやついたものに変わっている。

思わずひくっと口の端をひきつらせた。


「な…なに?」

「いやぁ、ツーショット手帳に大事〜に挟んだりしちゃうんだ〜と思って。あの山田がねぇ…ふ〜ん」

「べ…っ、つにそういうわけじゃ…」


いきなりそんなことを言われたもんだから、慌てて手にあったジュースを転かしてしまう。

ストローから推定20円分くらいの量がこぼれ出てしまった。最悪だ。


「好きなんだ?」

「す……っ!!?」


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