**


コンビニバイトは地味に疲れる。

そりゃあ深夜に走り回る居酒屋とかより体力的には楽なのかもしれないけど、それでも五時間以上立ちっぱなしってのは足にくる。

…まだ10代の言うセリフじゃないのかもしんないけど。


「おはよーございまーす…」


今日は久しぶりにバイトの日だった。学校帰り、制服姿のままバイト先のコンビニに出向く。

スマイル0円ニコニコマート。

従業員専用のバックに入ると、パソコンに向かっていた店長が振り返る。

あたしを見つけると、わざとらしい笑顔を浮かべて言った。


「山田、お前シフト希望間違えて出してたぞ!」

「へ?」

「ちゃんと直しといたから安心しろ!!新しいの、そこに貼ってるから」


可愛いのか可愛くないのか、よくわからないクマのクリップで留められているシフト表。

12月24・25日の欄、バツをつけたはずなのに、そこには思いっきりあたしの名前が書かれていた。

連続して。ハッキリクッキリと。

…しかも筆ペンかよ。やけに達筆なんですけど。止め・跳ね・押さえが完璧なんですけど。店長習字ならってたんですか…

じゃなくて。


「〜なんでイブも当日も入ってるんですか!!」

「や、どうせ暇だろ?家で一人よりバイトでお小遣い稼ぎ!!なっ!!」


なっ!!…じゃねぇよ。暇じゃねえよ。ハゲかけた頭は去年より幾分かひどくなっていて、オデコの光が神々しい。

…ほんと、いっそ今すぐ成仏してほしい。


確かに去年はケンタッキーのカーネルサンダースと過ごすしょっぱいクリスマスだったけど、チキンの肉じゃない骨の部分まで食い尽くす女っぷりの無さだったけれど、今年は違う。


あたしには、カボっていう彼氏が、いる。


変わり者で、いまいち決まらなくて、脳みそトリップしてて、お花畑で…でも、好きになってしまった、彼氏が。


.