「山田さん、先に飲んでいいですよ」


ぐったりしているあたしに悪びれもなく、シェイクを勧めてくれるカボ。

シェイクをずずっとすすりながら、その甘さにやっと息をついた。


…そう、カボとあたしは、付き合っている。

ドがつく天然の、超がつく変わり者のカボをついうっかり、本当にうっかり、不覚にも!好きになってしまって、もう半年と何ヶ月か。


…カボこと東山浩一郎は、あたしの彼氏である。



クリスマスが近いせいだろうか。

放課後のこの時間帯、比較的マックにもカップルが多い気がする。

楽しそうに笑う、あたしたちと同じく制服姿の、高校生男女たち。


…彼氏がいて迎えるクリスマスは、あたしにとって初めてだ。

ワクワクする反面、どうやって過ごすもんなんだろうと不安なのも確か。


…クリスマスプレゼントとか、やっぱ買うもんなんだろうか。

でもカボが欲しいものなんてさっぱり、これっぽっちも検討がつかない。

かぼちゃプリン?…いやいや、さすがにそれは安すぎるだろうよ。

でもクリスマスプレゼントが何かバレちゃ、楽しみってもんに欠けちゃうし。


さりげなく。


さりげなーく、探りを入れてみればいいんだ。

ゴクリ、と唾を飲み込むと、あたしはカボに向き直って聞いてみた。


「あのさぁ、カボって…好きなブランド、とか、ある?」

「好きなブランド?…ああ!神戸牛とかそういうのですか?」


…牛肉のブランドじゃないよ。この金持ちめ。


「いやだから、洋服とかカバンとか、そっちの!!」

「うーん…服はどこで買うって決めてるわけじゃないので…」

「………」

「あっ!でも決まらない時は歌って決めてます!!」

「…歌って?」

「はい!どーれーにーしーよーうーかーな、てーんーのーかーみーさーまーの」
「もういいよ」


…話逸れてるよ。てか、歌われても店員さん困るだろうよ。


「…あーもうっ!!カボの今欲しいものって何!?」


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