「レイー」


「ん?何?」


制服に着替え終わったリクが俺の部屋に顔を出す

…てか、俺まだ着替えてるんだけど


「レイって写真嫌いじゃなかったっけ?」


首を傾げながら言う


「あぁ…嫌いだったな」


「『だった』?今は好きなの?」


「好きじゃねぇよ。写真は苦手だし、嫌いだ」


「じゃあ…」


なんで?とさっきと逆に首を傾げる


「なんで…ねぇ…」


制服に着替え終わり部屋を出る

ドアの前にいるリクに振り返り


「なんでだろうな」


微かに笑って言う


「は…?」


訳がわからないというように間抜けな声をあげる

なんでか…なんて俺もわかんねぇよ


「レイ…、変」


「そうか?」


「うん、変だよ」


「ははは!まぁ、とりあえず行こうぜ」


心底不思議そうな顔をしてリクが俺を見る


「『女には親切にしろ』って…、親に叩き込まれたからな…」


「え、何?」


「何でもねぇよ、こっちの話」


もう2年近く会ってない親の顔を思い出す

『もう、うんざりだ!』そう言って家を飛び出した

――あんな親の言葉、まだ覚えてたんだな