「戸ぐらい閉めようよ、レイ」


「カイトが邪魔で閉められなかったんだよ」


「はいはい、じゃあ閉めておくよ」


カイトの手で戸がパタン音を立てて閉まる

今、閉めたのが俺だったら戸に八つ当たりしてた

それでリョウのこと起こして

レイもしかして怒ってるの、とか聞かれるんだろうな


「ヤキモチ妬くのもいいけど周りに迷惑かけてんなよ」


「なっ…!!」


誰がヤキモチなんて妬くか、言おうとしたそんな言葉は

カイトの睨むような視線で掻き消された


「リョウに心配かけて、八つ当たりして、今更何言ってんの」


「…悪かった」


それしか言えない

それしか言える言葉がない


「ま、リョウは許してるみたいだしいいけどね」


途端にいつもの涼しい笑顔に戻ったカイト

なんなんだ

どっと疲れが出た

とりあえず水でも飲みに行こう

階段を下りようとした時


「でもリョウは女の子ってこと、忘れないでね」


釘を刺された

とでもいうのだろうか

女の子だから気を遣えと

今後リョウに八つ当たりするなと

心配をかけるなと

そういうことなのか

そう言いたいのか?


「オレ、リョウが好きなんだよね。友達としてじゃなく、女の子として」


「そう…か」


「リョウはオレの事、信頼できる友達…。いや、親友と思ってるんだろうな」


「みんなそうだろ…」


「そうみんな。みんなそうだから、頼りになるオレに好機が沢山訪れると思うんだよね」


例えばレイに八つ当たりされたとき

と人差し指を立てながら

笑顔で言って見せる


「相談に乗ったり、慰めたり、オレとってもリョウに感謝されるだろうね」


ああ、と思い出したように付け足す


「恩を押し付けて無理矢理付き合うとかしないよ。ちゃんと好きになって欲しいし」


だから安心して、というような笑みは

俺を心配してるようで居心地が悪かったのと同時に

今までカイトとケンカしたなかで1番ムカついた