出来るだけ、この腫れたみっともない頬を見られないように、私は左に90度、首を向ける。 「奈神、痛いか?」 「痛くないです」 嘘。 気休め程度に冷やしても、痛みはひかない。 相当強く叩かれたものだ。 はぁっ、と一つ溜め息を零す。 すると。 キィッ、と車が一度止まり、Uターン。 景色が、巻き戻しみたいに映っていく。 「先生?」 何か忘れ物でもしたのだろうか。 何も喋らないまま、先生は運転を続ける。 全く。 どこに行くんだろう……。