「やはり古河村が屋上で害者と揉み合い、ナイフで腹部を刺して殺害した後、ビル屋上から突き落としたと考えるのが自然でしょうね」


「ああ。遺体は発見される午後八時前にすでに路上に落ちてたはずだ。マル害が合鍵を作ってなかった以上、犯行は屋上が施錠される午後八時の前にはすでに終わっていたと見られる」


「先ほど署にファックスされてきた東京中央監察医務院による司法解剖の結果を西谷君が見せてくれたんですが、直接の死因は腹部を刺されたことによる失血死、それに致命傷となったのが、高い場所から落ちたことによる転落での全身強打の二点でした」


「じゃあ、サカさんは今から現場に向かってくれ。俺は他のデカたちと署に詰めるから」


「西谷君はいいんですか?放っておいて」


「ああ。アイツには署内で電話やパソコンなどを使う内勤に回ってもらう。その代わり、サカさんには一人相方を付けるよ。刑事課強行犯係の藤野を、な」


「藤野を、ですか?」


「ああ。同じ巡査部長同士でいいだろ?」


「まあ、言われてみれば確かにそうですが……」


 坂野が曖昧に頷く。