古河村と内多、そして石松が共犯だったと考えられる。


 後で署鑑識係のデカたちが調べ上げた限りではカバンには石松の指紋が付着していて、金品ではなく、データが入ったメモリーカードがなくなっていたようだ。


 石松はやはりデータ盗で、記録媒体を奪ったのはほぼ間違いなかった。


 確かに本庁の前歴者データベースに掲載されている情報を見る限りでは、石松貴朗は二年前の退社後、新宿区のスーパーやコンビニ、雑貨店などで万引きなどを繰り返していて、窃盗の常習犯で通っていたらしい。


 警察の世話になるようなヤツが、今回は犯罪に参画(さんかく)していたということだ。


 そして古河村と内多には、永嶋を殺害するだけの動機がある。


 社内でのいざこざが殺人にまで発展するケースもあるにはあるのだ。


 坂野たち所轄の刑事はフロアでも隅の方に置かれながら、そのことばかり考え続けていた。


 四谷にある交差点で一月十三日の深夜起きた岩沼孝一ひき逃げ事件も、おそらく関連しているだろう。


 大型トラックによって轢かれた岩沼は前島実業の元社員だ。