坂野も岩永も、そして西谷も警察手帳とワッパ以外何も持っていない。


 近くの定食屋まで歩いていく姿を、犯罪者は見逃さなかった。


 昼の新宿はとてもいい陽気だ。


 快晴で、空は晴れ渡っている。


 坂野たちが店に入っていくと、麻倉は外でじっと待ち続けた。


 食事が終わり、油断しきっているところを狙って。


 麻倉はふっとケータイのフリップを開き、付いている時計を見た。


 午後零時過ぎである。


 公務員や会社員などが食事を取る時刻だ。


 麻倉は全身を黒ずくめで統一し、黒い革手袋を嵌め、マスクをしている。


“あいつらを必ず殺してやる”


 そう思い、三人の警官たちが出てくるのを秘かに待ち続けた。


 物陰に隠れて、何気ない風をしている。