何かと手先が器用な小笠原がまたいろんな作業を続行しているのを見届けて、坂野は歩き出した。


 藤野も付いてくる。


「サカさん」


「何だ?」


「今から現場近辺で聞き込みやるつもりだろ?」


「ああ、当然だ。俺もヤマがでかくならないうちに、ちゃんと片を付けるつもりだから」


「俺も付いてくよ」


「もちろん来てくれ。君がいれば聞き込みもはかどると思うから」


 坂野は思っていた。


 なぜ社営業部で主任を務める人間が偽装自殺をされたのか……?


 それに殺されたと思われる人間の部下たちは皆、合鍵など作っていなかったと言ったのか……?


 警部補の岩永は当初、坂野と西谷に生前の害者の人間関係を洗うよう言った。