FIN
 三月も下旬で四月に入る前だ。


 坂野たち新宿中央署刑事課のデカたちも、さすがに人事の問題などで頭が痛かった。


 署内は永嶋殺しと岩沼ひき逃げの二つの事件が片付いてしまったので、幾分落ち着いてはいたのだが……。


 坂野はずっとデスクの上のパソコンに向かっていた。


 昼になり、坂野は岩永や西谷に昼食を取りに行こうと誘って、署を出る。


 さすがに予期せぬ事態が裏で進行しつつあった。


 坂野たちを物陰から始終見張り続けているのは、あの男である。


 そう、麻倉充だ。


 麻倉は逮捕されるのが怖いと感じていたのだが、自分たちの悪事を暴いた警官に対し、復讐を企てるつもりでいた。


 懐に鋭利なナイフを忍ばせ、後をつける。


 犯罪者とあってか、麻倉は尾行が上手かった。