過去の経歴や職歴等から察するに、都内にある、その手のことに関して何かと詳しい人間のいる場所で身を潜めて働き続けているのだろう。


 坂野たちは新年度も新宿中央署刑事課で事件を追い続けていた。


 殺人など凶悪犯罪の時効はすでに撤廃されているので、いつまでもホシを追える。


 連日慌しいのだが、仕事が終わった後は、飲み屋でビールを飲みながら談笑していた。


 刑事も生き物である。


 何かと疲れることが多かった。
 

 だけど、これはデカの宿命なのである。


 警察手帳と拳銃を持っている限り、警官であることに変わりはない。


 多少乱暴なことをしてでもホシを捕まえるのが仕事だ。


 それぐらいここ新宿の街にいれば、危なっかしいヤマはいくらでもある。


 坂野たちもこの街に棲(す)み続けている以上、例外なしにそういった人間の一人なのだった。


 麻倉逮捕の情報を今か今かと待つ。