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 河北はラーメンしか食べてないらしく、以前写っていた顔写真などで見るのに比べて、頬の肉がかなり落ちたようで、見る影もなかった。


「ご無理をなさらずに」


「今、職を見つけておかないと大変なことになるんですよ。退職金もわずかでしたし、失業保険もいつまで続くか分からないですから」


「そうですか……」


 坂野は言葉尻を濁しながら、曖昧に頷き、その後重ねるように言った。


「あなたに事情聴取に来たあの刑事は東園寺護といって、本庁組織犯罪対策部の人間です」


「組織犯罪対策部って、あのテレビドラマとかで出てくる、組対五課って呼ばれる刑事さんたちですよね?」


「ええ、よくご存知で」


「あの手のテレビドラマなら、職探しの合間に見ることがありますから」


 坂野が一転神妙な顔付きになり、


「東園寺は何と言ってきました?」