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 二〇一一年が明けてすぐの一月三日の夜、新宿の目抜き通りで男性の変死体が発見された。


 管轄の新宿中央署刑事課に出動要請が入る。


 すでにキソウによる初動捜査は終わっていて、現場(げんじょう)に駆け付けたデカたちが遺体の前で手を合わせ、検視を行った。


「おそらく、あの高層階から落下したんでしょうね」


 巡査部長で、署刑事課強行犯係の副班長を務める坂野が目の前のビルの屋上を指差す。


 このビルは都内はおろか、全国的にも有数の売上金と規模を誇る前島実業の本社なのだった。


 建物は七階建てで、屋上もちゃんとある。


「サカさん、じゃあ、この腹部の刺し傷はどう説明する?」


 坂野に向かってそう問うたのは、警部補で強行犯係班長の岩永だ。


「それは……」


 坂野が言葉を詰まらせると、岩永が、