楽園の炎

意外な成り行きに、朱夏もユウも、呆気に取られてしまった。

そうこうしているうちに、兵士の数はどんどん増える。
すでに回廊も庭も、兵士に囲まれてしまっている。

「ちょっと、何? 何のこと?」

朱夏が、傍の兵士の肩を掴んで言うと、兵士は朱夏が混乱しているものと思い、安心させるように頷いた。

「もう大丈夫です。葵王様が、朱夏様が攫われたと、我らに出動命令を下されたのです。こやつは、あろうことか、葵王様に傷を負わせたばかりか、傍におられた朱夏様を攫ったそうではありませんか」

兵士の言葉に、無数の槍を突きつけられているユウの片眉が、ぴくりと上がる。

「はぁん。そうきたか。まぁ・・・・・・否定はせんがね」

慌てるでもなく、落ち着いて言ったユウに、兵士の一人が、我が意得たりとばかりに声を張り上げる。

「認めたな! 朱夏様を拉致し、葵王様を討とうとした罪は、万死に値する! 地下牢に引き立てろ!!」

兵士の声を合図に、何人かがユウを縛り上げる。
おろおろする朱夏とは対照的に、ユウは大人しくされるがままになっている。

そこへ、何人かの兵を連れた葵が、姿を現した。
一斉に、皆が頭を垂れる。

「朱夏、無事で良かった」

どこか平坦な声で言う葵は、朱夏の知らない男のようだ。