楽園の炎

ようやく落ち着き、朱夏は顔を上げた。
ユウの、心配そうな瞳とぶつかる。

「ありがとう。もう、大丈夫」

少し身体を離して言う朱夏の瞳は、まだ赤い。

ユウが、朱夏の背中に回した腕を、離したくないな、と思っていると、不意に幾人かの足音が聞こえてきた。
宮殿内も、何か騒がしくなっているようだ。

「何・・・・・・?」

二人が回廊のほうへ目を向けると、灯りを持った兵士が走ってくるのが見えた。
我に返ったユウが身を隠す暇もなく、兵士らは、二人を見つける。

何かあったのなら、上手くいけばユウのことは、混乱のどさくさで誤魔化せるかもしれないと思った朱夏は、自ら兵士に向き直った。
が、兵士は走ってくるなり、朱夏を取り巻いて騒ぎ出す。

「朱夏様! ご無事だったのですね!」

「おぉい! 朱夏様はご無事だ! ここにおられる!」

驚く朱夏をたちまち取り囲み、兵士らは口々に叫ぶ。
そしてユウに向き直ると、全員が持っていた槍を彼に向かって突きつけた。

「貴様! 恐れ多くも、葵王様付きの朱夏様を攫おうなど、どういうつもりだ!」

「大胆にも、王宮に忍び込むとは!!」