楽園の炎

最早朱夏は、身体の震えを止められなかった。
家族のように慕っていた葵が、今はただ怖い。
涙の溜まった瞳で震える朱夏を、葵はまた抱きしめた。

「朱夏・・・・・・。朱夏が拒んでも、僕は朱夏を、側室にする」

耳元で囁き、葵は一気に朱夏の帯を引き抜いた。

「! やっ!! やだ! 誰かっ・・・・・・」

覆い被さる葵の身体は、いくら暴れても、びくともしない。
虚しい抵抗を試みる間にも、葵の手は朱夏の衣を開き、胸に滑り込んでくる。

そのとき、寝台の上を探った朱夏の手が、枕元にあった冷たい物に触れた。
ユウにもらった、短剣だ。

朱夏は、それを掴んだ。
が、葵を守るよう仕込まれた身体は、葵を傷つけるためには動かない。
頭でも、葵を傷つけるわけにはいかないとわかっているため、短剣が手の中にあっても、どうすることもできない。

朱夏はただ、短剣を握りしめた。

葵の唇が、胸元に触れる。
その途端、激しい嫌悪感に襲われ、朱夏の瞳から、堪えていた涙がこぼれ落ちた。

「いやあぁーっ! ユウ!!」

思わず口から出た叫びに、葵が一瞬動きを止める。
同時に、朱夏が考えることなく叫んだ言葉に応えるように、いきなり扉が開く。
驚く間もなく、次の瞬間には、葵が小さく呻いて頽れていた。