「お許しくださるのですか?」
朱夏は十五。
貴族の娘なら、結婚する年齢だ。
同じような身分の高いところに嫁ぐなら、すぐにでも相手を探さなければならない。
朱夏の言うように、のんびりなどしていては、行き遅れる可能性が高まるだけだ。
だが炎駒は、目を細めて娘を見た。
「葵王様のことを想っていなかったのだとしても、少なからず、ショックではあるだろう。気づいてないだけで、それは失恋のショックなのかもしれんし。それに、私もしばらく、娘を他の男に取られないで済むわけだからな」
少し笑い、今まで父親らしいことをしてやらなかったくせに、このようなことを言うのは勝手だが、と、炎駒は呟いた。
朱夏はまた、ふるふると首を振る。
「お前は、自分の思うように生きれば良い。結婚も、お前がこれと思った男に出会ったときに、すれば良い。私は、お前のことは、信じている。我が娘が、つまらぬ男など、選ぶはずがないからな」
ぽんぽんと頭を撫でる炎駒に、朱夏は思わず涙をこぼした。
父の口から出た、‘我が娘’という言葉が、無性に嬉しかった。
父は自分を、娘として見ていないという思いが、いつもあったからだ。
朱夏は父に抱きついた。
「ありがとう、父上」
朱夏は十五。
貴族の娘なら、結婚する年齢だ。
同じような身分の高いところに嫁ぐなら、すぐにでも相手を探さなければならない。
朱夏の言うように、のんびりなどしていては、行き遅れる可能性が高まるだけだ。
だが炎駒は、目を細めて娘を見た。
「葵王様のことを想っていなかったのだとしても、少なからず、ショックではあるだろう。気づいてないだけで、それは失恋のショックなのかもしれんし。それに、私もしばらく、娘を他の男に取られないで済むわけだからな」
少し笑い、今まで父親らしいことをしてやらなかったくせに、このようなことを言うのは勝手だが、と、炎駒は呟いた。
朱夏はまた、ふるふると首を振る。
「お前は、自分の思うように生きれば良い。結婚も、お前がこれと思った男に出会ったときに、すれば良い。私は、お前のことは、信じている。我が娘が、つまらぬ男など、選ぶはずがないからな」
ぽんぽんと頭を撫でる炎駒に、朱夏は思わず涙をこぼした。
父の口から出た、‘我が娘’という言葉が、無性に嬉しかった。
父は自分を、娘として見ていないという思いが、いつもあったからだ。
朱夏は父に抱きついた。
「ありがとう、父上」


