「だがそれも、今回のことで叶わなくなってしまった。ククルカンからの申し入れを、断ることなどできない」
すまない、と、再度頭を下げる父に、朱夏は柔らかく微笑んで首を振った。
「気にしないでください。そんな気弱な父上のお姿、見たくありません。いつものように、堂々としていてください。父上が、わたくしのことを想っていてくださったとわかっただけで、わたくしは嬉しい。幸せです」
微笑む朱夏の頬を撫で、炎駒はそっと、娘を抱きしめた。
朱夏の記憶にある限りでは、初めてのことだった。
他の誰とも違う、絶対的な安心感を与えてくれる父親の胸に、朱夏は泣きたくなるほど嬉しくなった。
「父上。わたくしは、正直なところ、葵の・・・・・・葵王のことを、男性として見ていたわけでは、ないと思うのです」
静かに言った朱夏を、炎駒は少し身体を離して覗き込んだ。
心配そうな父の表情に、朱夏はまた、嬉しくなる。
「葵王のお見合いのこと、少し前に、憂杏に聞きました。驚きましたけど、ショックではなかった。ショックを受けたとすれば、ずっと一緒に育ってきた葵が、知らないうちにどんどん大人になっているという、事実でしょうか。置いて行かれるという気持ちが、強いのです。わたくしの気持ちは、愛ではないと、ある人にも言われました」
すまない、と、再度頭を下げる父に、朱夏は柔らかく微笑んで首を振った。
「気にしないでください。そんな気弱な父上のお姿、見たくありません。いつものように、堂々としていてください。父上が、わたくしのことを想っていてくださったとわかっただけで、わたくしは嬉しい。幸せです」
微笑む朱夏の頬を撫で、炎駒はそっと、娘を抱きしめた。
朱夏の記憶にある限りでは、初めてのことだった。
他の誰とも違う、絶対的な安心感を与えてくれる父親の胸に、朱夏は泣きたくなるほど嬉しくなった。
「父上。わたくしは、正直なところ、葵の・・・・・・葵王のことを、男性として見ていたわけでは、ないと思うのです」
静かに言った朱夏を、炎駒は少し身体を離して覗き込んだ。
心配そうな父の表情に、朱夏はまた、嬉しくなる。
「葵王のお見合いのこと、少し前に、憂杏に聞きました。驚きましたけど、ショックではなかった。ショックを受けたとすれば、ずっと一緒に育ってきた葵が、知らないうちにどんどん大人になっているという、事実でしょうか。置いて行かれるという気持ちが、強いのです。わたくしの気持ちは、愛ではないと、ある人にも言われました」


