楽園の炎

「ニオベがさ、葵王を好いてるみたいなんだな」

「ああ、そうね」

軽く頷いた後、朱夏は、がばっと夕星を振り返った。

「え、何? もしかして、葵とニオベ様の婚儀とか、そういう話になってるの?」

確かに葵も、ニオベ姫のことは気に入っているようだった。
だが、ニオベ姫は何と言ってもまだ幼い。
本気でそこまで考えているわけでもないだろう。

しかし夕星は、ふふっと笑った。

「そこまで具体的ではないけどな。ちょっと、そういう話も出たんだ。ニオベがさ、やたらと葵王のことを気にするし」

「へえぇ~。言われてみれば、そうかも。あら~、そうなったら・・・・・・」

ニオベ姫がアルファルドに来ることになるのだろうか。

「ニオベ様が、降嫁するってことになるの? 降嫁・・・・・・になるのかな? 皇帝陛下からしたら葵は臣下だから、降嫁には変わりないか」

「いや・・・・・・」

少し首を捻り、夕星はその場に腰を下ろした。
朱夏も、夕星の横に腰を下ろす。

「葵王はさ、今兄上の手伝いをしてるだろ。兄上の手伝いということは、相当な能力を求められるということだ。それもこなせているようだし、だとしたら、ゆくゆくは俺の代わりも務まるんじゃないか?」

遠くを見たまま言う夕星を、朱夏はぽかんと見つめた。
夕星の代わり---それは即ち。

「えっ・・・・・・。ユウ、葵を、ククルカンの宰相にする気なの?」