奥に見える広い広間のようなところが、玄室なのだろう。
が、夕星はそこまで行かず、手前の脇道に入った。
狭く短い回廊を過ぎると、小さな部屋に出た。
人が五人ほど入ればいっぱいになってしまうであろう小さな部屋は、正面に壁が二面。
入ってきた面を合わせて、三面しかない。
部屋が、三角形なのだ。
「面白い形の部屋ね。小さいし」
きょろ、と部屋の中を見回した朱夏は、二面の壁それぞれに、ククルカンのレリーフが施されているのに気づいた。
「ここも、誰かのお墓なの?」
壁の前には、小さな祭壇もある。
だが、一方は何も供えられずに荒んだ感じで、片一方はきちんと磨かれ、花が供えられている。
「側室の墓だ」
花の添えられたほうの壁に向かって跪き、夕星が呟いた。
それだけで、誰の墓なのか知れる。
今夕星が跪いている壁の向こうに眠るのが、彼の母親の墓なのだ。
とすると。
朱夏はもう一方の壁を見た。
こちらがアリンダ皇子の母親---メイズ妃の墓か。
「新しい花だな。ナスルが来たのか」
供えられた花に軽く触れ、夕星はそのまま、壁のククルカン像に触れた。
目を閉じ、祈りを捧げる。
朱夏も夕星の後ろに跪き、同じように目を閉じた。
短い祈りの後、夕星は静かに立ち上がり、朱夏の手を取った。
が、夕星はそこまで行かず、手前の脇道に入った。
狭く短い回廊を過ぎると、小さな部屋に出た。
人が五人ほど入ればいっぱいになってしまうであろう小さな部屋は、正面に壁が二面。
入ってきた面を合わせて、三面しかない。
部屋が、三角形なのだ。
「面白い形の部屋ね。小さいし」
きょろ、と部屋の中を見回した朱夏は、二面の壁それぞれに、ククルカンのレリーフが施されているのに気づいた。
「ここも、誰かのお墓なの?」
壁の前には、小さな祭壇もある。
だが、一方は何も供えられずに荒んだ感じで、片一方はきちんと磨かれ、花が供えられている。
「側室の墓だ」
花の添えられたほうの壁に向かって跪き、夕星が呟いた。
それだけで、誰の墓なのか知れる。
今夕星が跪いている壁の向こうに眠るのが、彼の母親の墓なのだ。
とすると。
朱夏はもう一方の壁を見た。
こちらがアリンダ皇子の母親---メイズ妃の墓か。
「新しい花だな。ナスルが来たのか」
供えられた花に軽く触れ、夕星はそのまま、壁のククルカン像に触れた。
目を閉じ、祈りを捧げる。
朱夏も夕星の後ろに跪き、同じように目を閉じた。
短い祈りの後、夕星は静かに立ち上がり、朱夏の手を取った。


