「ふふ。さすがに俺も、実際にここで抱こうなんて思わないさ」
そう言いながらも朱夏を抱く手は緩めず、夕星はそのまま馬を進めた。
大分上に登っただろうか。
ようやく妙な汗も引いてきた頃、前方の視界が開け、石造りの扉が穿たれた小さな丘が見えてきた。
木立から抜ける手前で、夕星は馬を降り、傍の木に繋ぐ。
「綺麗なところね」
同じように馬から降りながら、朱夏は丘の周りを見回した。
大きく息を吸い込むと、澄んだ空気が身体に満ちる。
「ククルカンの力が満ちてるからな。邪気は祓われてるし、自然と墓が守られてるんだ」
そう言って、扉の前で短い祈りの言葉を唱える。
ふわっと空気が動いたように思った途端、ぎ、と音がし、少しだけ扉が開いた。
「ククルカンが、解錠してくれたんだ」
片手を朱夏に差し伸べ、もう片方の手で扉を開きながら、夕星が言う。
手を引かれて入った霊廟の中は、外より少し薄暗いだけで、動くのに何ら支障はない。
墓独特の重苦しい空気などなく、それなりに明るく、外と同様、澄んだ空気に満たされていた。
「中も綺麗。灯りがあるわけでもないみたいなのに、明るいね」
「光石さ。石自体が、発光してるんだ。この回廊の奥が、皇族の玄室だよ。代々の皇帝陛下の壁画の向こうに、棺が安置されている」
そう言いながらも朱夏を抱く手は緩めず、夕星はそのまま馬を進めた。
大分上に登っただろうか。
ようやく妙な汗も引いてきた頃、前方の視界が開け、石造りの扉が穿たれた小さな丘が見えてきた。
木立から抜ける手前で、夕星は馬を降り、傍の木に繋ぐ。
「綺麗なところね」
同じように馬から降りながら、朱夏は丘の周りを見回した。
大きく息を吸い込むと、澄んだ空気が身体に満ちる。
「ククルカンの力が満ちてるからな。邪気は祓われてるし、自然と墓が守られてるんだ」
そう言って、扉の前で短い祈りの言葉を唱える。
ふわっと空気が動いたように思った途端、ぎ、と音がし、少しだけ扉が開いた。
「ククルカンが、解錠してくれたんだ」
片手を朱夏に差し伸べ、もう片方の手で扉を開きながら、夕星が言う。
手を引かれて入った霊廟の中は、外より少し薄暗いだけで、動くのに何ら支障はない。
墓独特の重苦しい空気などなく、それなりに明るく、外と同様、澄んだ空気に満たされていた。
「中も綺麗。灯りがあるわけでもないみたいなのに、明るいね」
「光石さ。石自体が、発光してるんだ。この回廊の奥が、皇族の玄室だよ。代々の皇帝陛下の壁画の向こうに、棺が安置されている」


