「あ、え、ええ。ちょっと危険なものなので、今は持ってませんが。また姫様にも、お見せしますよ」
お茶を飲むふりをして、カップで顔を隠しながら言う朱夏に、ナスル姫も、特に突っ込むことなく微笑み返した。
「そ、そういえば姫様。わたくしがここに来たとき、何か、兵士に頼んでいたようですが。何か、不都合でも?」
話を逸らすため、話題を変えた朱夏に、ナスル姫は、カップを運ぶ手を止めた。
少し考えてから、カップを戻すと、視線をバルコニーに移す。
「兄上が、こちらに来られるそうなの」
「?」
ナスル姫は、五人兄弟の、一番下だったはず。
第二皇女だから、女性は上に一人。
後の三人は、皆‘兄上’だ。
そのうちの、誰が来るのだろう。
「皇太子よ」
朱夏の考えを読んだように、姫が言った。
へっ? という顔で固まった朱夏は、次の瞬間、叫び声を上げた。
「ぇぇえええ? こ、皇太子って。え、何で? 何か、我が国が、やらかしたのですか?」
「落ち着いて。そういうわけじゃないわ。こっちの都合なんだけど。でもちょっと、大事(おおごと)になっちゃうわね・・・・・・」
やれやれ、というように、ナスル姫が頬杖をつく。
「仕方ないか。そうでもしないと、見つからないし。あ、兄上はきっと、ご機嫌よろしくない状態で来られると思うけど、それはこの国のせいでは全くないから、気にしないでね」
にこ、と笑うナスル姫を、朱夏は怪訝な顔で見つめ返した。
お茶を飲むふりをして、カップで顔を隠しながら言う朱夏に、ナスル姫も、特に突っ込むことなく微笑み返した。
「そ、そういえば姫様。わたくしがここに来たとき、何か、兵士に頼んでいたようですが。何か、不都合でも?」
話を逸らすため、話題を変えた朱夏に、ナスル姫は、カップを運ぶ手を止めた。
少し考えてから、カップを戻すと、視線をバルコニーに移す。
「兄上が、こちらに来られるそうなの」
「?」
ナスル姫は、五人兄弟の、一番下だったはず。
第二皇女だから、女性は上に一人。
後の三人は、皆‘兄上’だ。
そのうちの、誰が来るのだろう。
「皇太子よ」
朱夏の考えを読んだように、姫が言った。
へっ? という顔で固まった朱夏は、次の瞬間、叫び声を上げた。
「ぇぇえええ? こ、皇太子って。え、何で? 何か、我が国が、やらかしたのですか?」
「落ち着いて。そういうわけじゃないわ。こっちの都合なんだけど。でもちょっと、大事(おおごと)になっちゃうわね・・・・・・」
やれやれ、というように、ナスル姫が頬杖をつく。
「仕方ないか。そうでもしないと、見つからないし。あ、兄上はきっと、ご機嫌よろしくない状態で来られると思うけど、それはこの国のせいでは全くないから、気にしないでね」
にこ、と笑うナスル姫を、朱夏は怪訝な顔で見つめ返した。


