「あの山に行くの?」
「ああ。あそこはククルカンで一番緑が多いんだ。ちょっと遠いから、飛ばすぜ」
少し伸び上がって前方を見ていた朱夏は、慌てて馬首にしがみつく。
それを合図に、夕星は少し前に詰め、馬の腹を蹴った。
風のように駆ける馬の背で、朱夏は目を見開いて、ぐんぐん変わっていく景色を眺めていた。
冷たい風が吹き付けるが、夕星がぴたりとくっついてくれているので寒くはない。
小さな町をいくつか抜け、やがて周りは目に見えて緑が増えてきた。
山の手前で、夕星は馬の足を緩めた。
「この山は、ククルカン皇家の霊廟だ」
「えっ」
皇家の霊廟など、おいそれと近づいてはいけない神域ではないか。
朱夏は驚いて振り返った。
が、夕星はそのまま、ゆるゆる馬を進めて山に入る。
「ちょっと、そんな神域に、勝手に入っていいの? しかも、馬でなんて・・・・・・」
焦る朱夏とは反対に、夕星は辺りの緑を眺めながら、のんびりと言った。
「そんな大袈裟な。霊廟っつっても、民の憩いの場だぜ。静かだし、綺麗だしな」
夕星の言うとおり、木立の間から降り注ぐ光や、小鳥のさえずりなどしか聞こえないぐらいの静寂は、気分を和らげる。
「確かにほんとの霊廟の前までは、民は行けないけどな。墓所の山頂は、ククルカンが守ってるから、神気が強いし」
「ああ。あそこはククルカンで一番緑が多いんだ。ちょっと遠いから、飛ばすぜ」
少し伸び上がって前方を見ていた朱夏は、慌てて馬首にしがみつく。
それを合図に、夕星は少し前に詰め、馬の腹を蹴った。
風のように駆ける馬の背で、朱夏は目を見開いて、ぐんぐん変わっていく景色を眺めていた。
冷たい風が吹き付けるが、夕星がぴたりとくっついてくれているので寒くはない。
小さな町をいくつか抜け、やがて周りは目に見えて緑が増えてきた。
山の手前で、夕星は馬の足を緩めた。
「この山は、ククルカン皇家の霊廟だ」
「えっ」
皇家の霊廟など、おいそれと近づいてはいけない神域ではないか。
朱夏は驚いて振り返った。
が、夕星はそのまま、ゆるゆる馬を進めて山に入る。
「ちょっと、そんな神域に、勝手に入っていいの? しかも、馬でなんて・・・・・・」
焦る朱夏とは反対に、夕星は辺りの緑を眺めながら、のんびりと言った。
「そんな大袈裟な。霊廟っつっても、民の憩いの場だぜ。静かだし、綺麗だしな」
夕星の言うとおり、木立の間から降り注ぐ光や、小鳥のさえずりなどしか聞こえないぐらいの静寂は、気分を和らげる。
「確かにほんとの霊廟の前までは、民は行けないけどな。墓所の山頂は、ククルカンが守ってるから、神気が強いし」


