楽園の炎

「致し方ないなどというものではありませんわよ。当然の処罰ですわ」

アリンダのことになると、ことさら女子陣がいきり立つ。
桂枝が、鼻息荒く言い切った。

そのとき、扉が軽く叩かれ、アルが顔を覗かせた。

「あの、朱夏様。ニオベ姫様がお見えなんですけど」

「え?」

驚いてアルを見ると、彼女の後ろから、ぴょこんとニオベ姫が現れた。
いつものように飛び込んで来ないのは、一応今は朱夏の部屋でなく、来客用の部屋だからのようだ。

ニオベ姫はそのまま、視線を炎駒に滑らせた。

「おや、これはこれは。きちんとご挨拶するのは、初めてですな。朱夏の父、炎駒と申します」

炎駒が立ち上がり、ニオベ姫に軽く頭を下げる。
それを受けて、ニオベ姫は、ささっとアルの後ろから出、一番初めに朱夏にしたように、スカートの裾を摘んで、軽く膝を折った。

「ニオベですわ。炎駒様は、アルファルド王の側近よね。お父様やおじいちゃまから、よく聞いてるわ」

属国とはいえ一国の宰相である炎駒にも物怖じせず、ニオベ姫は挨拶を返す。
さすが、と見惚れる朱夏に、ニオベ姫は、ぱっと笑顔を見せた。