楽園の炎

相変わらずしゅんとする朱夏に、困ったような顔をしながらも、炎駒は若干嬉しそうだ。

「あたし、随分前からユウとは会ってたし、普通に好きになって、嫁いで来るときもアルを連れてきたのに、こんなに寂しいじゃない。本物のお姫様は、見も知らない皇子様のところに、単身嫁がされたりするのよね。どんな気持ちかしら・・・・・・」

朱夏は幸運なのだ。
たまたまお互い惹かれ合った者同士であるし、怖い思いはしたものの、元凶はすでに、ここにはない。

「ああ、そういえば、アリンダ皇子の護送は、無事に済んだのかしら」

ウラカンの神の力に縛られているとか、護送方法がちょっと特殊だとか、いろいろ聞いたような気はするが、あんまり現実味のない話で、ほとんど覚えていない。

「大丈夫だろう。神官も一緒について行って、罪人の引き渡しを行うらしいから、神懸かりなことも、きちんと行えるだろう。こう言っては何だが、これで一安心だな」

「そうね。・・・・・・ニオベ様もいらっしゃることだし、今後のことを考えると、致し方ない処置かもね」

あの凶暴さから行くと、ナスル姫はもちろん、ニオベ姫だって危なかったのではないか。
何となく、夕星が宰相として皇太子に頼りにされるのを疎ましく思うようなアリンダなら、その鬱憤をニオベ姫に向けたとしてもおかしくない。

皇太子を困らすことになるし、それが夕星が宰相の地位にいること故の怒りなら、また夕星を苦しめることにもなるからだ。