楽園の炎

「ねぇ父上。父上は、いつまでククルカンにいてくださるの?」

町から帰ってきて、炎駒の部屋でくつろぎながら、朱夏は炎駒に尋ねた。

「そうだな・・・・・・。あまり国を空けるわけにもいかんしな」

お茶を飲みながら、炎駒はゆったりと言う。
朱夏の茶器にお茶を注ぎながら、桂枝が思い出したように口を挟んだ。

「そういえば、我々が帰るときに、息子もククルカンを出るそうです」

え、と朱夏が顔を上げる。

「憂杏、旅に出るの?」

「ええ。雨も上がって、季節的にも移動しやすくなりましたし。ナスル様がおりますので、ゆっくりと移動を開始するそうですよ」

「そうかぁ・・・・・・。憂杏は商人だものね。考えてみればいつものことなんだけど。父上も桂枝も、憂杏もナスル様まで一度にいなくなるのは寂しいなぁ」

しゅん、と項垂れる朱夏の頭を、炎駒はよしよしと撫でた。

「全く、朱夏はそんな寂しがりだったか?」

苦笑いする炎駒に、桂枝がころころと笑った。

「アルファルドでは、皆が家族みたいな状態でしたものねぇ。ククルカンではやはり、気を遣うことも多いでしょうし、今までのようにのびのびとはいきませんわよねぇ。でも、セドナ様も他の侍女殿も、お優しいでしょう?」

「そうだけど・・・・・・。やっぱり寂しい」