楽園の炎

「いやいや、隊長はあれで、それなりにしっかりしておりますよ」

「ええ、もちろん。しかしあの隊長が父親・・・・・・。ははっ確かに、想像できませんな」

「そういや隊長は、近くコアトルに赴任されるとか。我々も連れて行ってくださるのだろうか」

え、と朱夏と炎駒が顔を上げた。
近衛隊にまで話が漏れているということは、そういう話がまとまりつつあるのだろうか。

「ええ? 夕星様、もうコアトルに行っちゃうの?」

意外に葵が声を上げる。

「えっと、そういう希望は出してるって聞いてるけど・・・・・・。でもまだ先になるみたいなことも言ってたと思うんだけどな。ユウ、宰相だし」

「そうだよね。そうそう、宰相の地位はどうするんだろう。政治の中枢が、都にいないってのも変だし。誰に譲るのかな」

安心したように言い、だが葵も首を捻る。
宰相は臣下の最高位。
高い能力を求められる。
簡単に人材が見つかるものでもない。

「皇太子様には、ご兄弟はユウしかいらっしゃらないものね。ああ、でも優秀な側近がいらっしゃるじゃない。アシェン様なら、そういったこともできそうだわ」

無骨な側近を思い出し、朱夏は、ぽん、と手を打った。
長年皇太子の側近を務めてきたアシェンなら、能力もそれなりのはずだ。
皇太子の信頼も篤いだろう。

「・・・・・・そうなのかな。まぁ確かに、夕星様がコアトルに赴任されると決まっても、取り立てて皇太子様は異議を唱えられなかったし、何かお考えがあるんだろう」