楽園の炎

真っ直ぐに向けられる瞳に、半ば酔うように、ふらふらと朱夏は夕星の手を取った。

くい、と朱夏を引っ張り、自分のほうに引き寄せると、夕星は手早く朱夏の外套を取る。
朱夏が恥ずかしがるよりも早く、そのままぎゅ、と抱きしめた。

引っ付いてしまえば、返って身体は見えない。
朱夏は夕星の腕の中で、息をついた。

「ほらほら。もう俺にくっつくのなんて、慣れたもんだろ?」

からかうように言う夕星に、朱夏はちらりと目だけを上向けて、彼を見た。
ただくっつくだけなら確かに慣れたが、今はそれだけでは済まないということぐらい、朱夏だってわかっている。

先程よりも幾分落ち着いたとはいえ、やはり身体の震えは止まらないし、心臓はくっついている夕星にも伝わるほどに高鳴っている。
次の彼の行動を拒むように、朱夏はひたすら、夕星にしがみついて、胸に顔を埋めた。

「・・・・・・そんなに怖がられると、何か凄い気を遣うなぁ」

苦笑いしながら、夕星が言う。

「だ、だって、アルが妙なこと言うし。怖いっていうか、あの、何て言うんだろう・・・・・・。何されるか、わからないから・・・・・・」

「何だ、やっぱりわかってないのか」

はははっと笑い、夕星は上を向いた朱夏に、素早く口付けた。
軽い口付けの後で、至近距離で微笑むと、夕星は腕に力を入れて、朱夏を支えるように身体を反転させた。
下になった朱夏に、もう一度、今度は深く口付ける。

「朱夏、愛してる」

耳元で低く囁いた夕星の言葉を聞いてからは、朱夏はもう、何が起こっているのかさっぱり理解できないまま、ただ夕星に身を任せていた。