楽園の炎

「ああ~疲れたっ! やっぱ堅苦しいのは苦手だわぁ」

言いながら羽織っていた外套を取り、ぽいと傍の椅子の背にかけて、夕星は天蓋の布を跳ね上げると、勢い良く寝台に横になった。
そして、ちらりと朱夏を見る。

「何だ。まだ外套なんか着てんの。ここは寒くないだろ?」

「あ、う、うん・・・・・・」

ぎこちなく外套を取ろうとして、朱夏は固まった。
ちらっと開いた外套の中は、例のセドナとアルが用意した、リンズ式の夜着だ。
非常に薄い布地なので、素肌が微妙に透けている。

湯殿で着たときは、全然見てなかったし、周りにいるのも侍女だったので、全く気にならなかった。
が、改めて見ると、非常に恥ずかしい。

「どうした?」

怪訝な表情の夕星に、朱夏は妙な汗を流しながら、外套の前を握りしめた。

「あ、あの・・・・・・」

赤くなってずりずりと離れる朱夏に、夕星は上体を起こした。

「何かあったの?」

少し心配そうな表情に、慌てて朱夏は、ふるふると首を振った。

「ちっ違うよ。そういうんじゃなくて・・・・・・あの、や、夜着が・・・・・・」

「夜着?」

「薄くて・・・・・・」

「・・・・・・」

言わんとしていることを察し、夕星は、じっと朱夏を見た。
その視線に、ますます朱夏の身体は強張る。

しばしの沈黙の後、夕星は手を伸ばして寝台の辺りの灯りを、少しだけ絞った。

「ほら。これぐらいの暗さだと、一番モノも見えにくいだろ。・・・・・・ま、俺は夜目が利くから、あんま意味ないけどね」

にやりと笑い、寝台の端で固まる朱夏に手を差し伸べる。

「・・・・・・おいで」