楽園の炎

「あそこが奥宮?」

頷き、近衛隊が先に立って庭を突っ切る。
扉の前まで来ると、レダやアルが出迎えた。

「さ、ではどうぞ。我々はこれで」

近衛隊が恭しく頭を下げ、中に入る朱夏を見送った。
部屋の中は薄暗く、奥に進むほど暗くなっているようだ。

「ちょ、何でこんなに暗いの。怖いじゃない」

傍らを歩くアルに言うと、アルは胡乱な目を朱夏に向ける。

「朱夏様。今宵は初夜ですよ。煌々と灯りを灯して良いんですか? 明るいままで、雰囲気を出せるのですか?」

「あ・・・・・・そういうこと」

ぽりぽりと頬を掻きながら、朱夏は先を見た。
最奥は寝所のようだ。
当然ながら、そこに向かっているのだろう。

ほの暗い廊下と、いきなり『初夜』ということを思い出さされ、朱夏は知らず外套の胸を握りしめた。
意識しだすと、足が震える。

やがて寝所の扉の前で、セドナが立ち止まった。

「では朱夏姫様」

「えっ!」

明らかに狼狽える朱夏に、セドナを始め、皆が頭を下げる。

「我々は、今歩いてきた始めのほうの居間におりますので」

そう言い残し、立ち去ろうとする。
朱夏は慌てて、セドナの袖を掴んだ。