楽園の炎

肩を竦める朱夏に、夕星は少し首を傾げる。
元々そんな身分にこだわらない夕星からすると、そんなことは取るに足らないことらしい。
最早覚えてもいない。

「・・・・・・そんなこと、気にすることではありませんよ。ああ、まぁ俺はこういう性格だからかもしれませんが」

一応自分でも、自分は規格外だということは、わかっているらしい。
他では通用しないということを付け足しておく。
桂枝も、もう一度小さな声で申し訳ありませんでした、と呟き、改めて頭を下げる。

「夕星様、この度は、誠におめでとうございます」

「桂枝殿も、めでたいではないか。妹を、よろしく頼む」

片膝をついたまま言う夕星に、桂枝は、はっとしたように顔を上げた。
そして、さらに深く頭を下げる。

「お、お任せください。娘としては、ちょっと見られませんが、息子共々大切に致します」

「何、朱夏だと思って、びしばししごいても大丈夫だ。案外タフだぜ」

ぽんと桂枝の肩を叩き、改めて朱夏を連れ、炎駒の前の椅子にかける。
炎駒は、目の前の朱夏に眼を細めた。

「綺麗に支度したものだな。おめでとう」

朱夏は何となくこそばゆい感じに、えへへ、と笑って頬を掻いた。