楽園の炎

レダの言うとおり、アルファルドから持ってきた朱夏の荷物というものは、衣装箱一つにもならない。
大部分はナスル姫がくれた衣装だとか、ククルカンに来てから衣装係が作ったものである。

朱夏は、ぽりぽりと頬を掻いた。

「リンズは着回しがきくからさぁ、数いらないのよ」

「朱夏様ぐらいですわよ、一定の色しか身につけないのは。アルファルドでも、普通の娘はいろいろな布を使って、リンズを飾り立てるのですから」

ぎゅっと簪を差し込むアルに、また朱夏は、ぽりぽりと頬を掻いた。

朱夏の前には、豪華な宝石がまばゆい光を放っている。
一際目を惹くのが、この日のためにあつらえた、ブルーダイヤの首飾りだ。

アルが用心深くそれを、朱夏の首に当てた。
大きく開いた胸元に、ひやりと冷たい感触。

「守り刀に誓いを立てる、と仰ってましたわね? ではこれも、つけておくんですかね。確かにこうやってみると、まるで守り刀も初めからこの首飾りの一部だったかのように、しっくりきてますけど。誓いを立てるときには、外すのでは?」

アルに言われ、朱夏は鏡の中を覗き込んだ。
ブルーダイヤが複雑に絡み合った首飾りに、守り刀は不思議なほど溶け込んでいる。

だが決して外しやすくはないだろう。
誓いをどうやって立てるのかは知らないが、どうするにしろ、一旦は外すのではないか。

「う~ん、あたしも外しやすくしておこうかって聞いたんだけど、ユウはいいって言うの。どうするつもりなのかしらね」

「ふぅん・・・・・・。まぁ夕星様がいいと仰るのなら、従いましょう。夕星様なら、結構何が起こっても、そつなくこなせるでしょう」