楽園の炎

大きな城は、相当遠くからでも見ることができる。
港を出てから城が見えてきたのは、一刻ほど経ったころだったが、実際城に到着したのは、日がとっぷりと暮れてからだった。

「遅くなってしまいましたな。直接お部屋のほうへ、輿をつけましょうか」

ネイトが言うが、炎駒は、いや、と断り、城門を入ったところで輿から降りた。

「ご挨拶もないまま、いきなり輿を乗り付けるわけには参りませぬ」

続いて桂枝も輿から降りていると、迎え出た兵士が、ざっと左右に分かれて道を開けた。
見ると、皇太子が歩いてくる。

炎駒は、さっとその場に跪いた。

「ようこそ。アルファルドでは、お世話になりましたな。お元気そうで何より」

「これは、皇太子様。お久しぶりにございます。お招きいただき、誠にありがとうございます」

「桂枝殿も、遠路はるばるようこそ。お疲れでしょう」

挨拶を返す炎駒の後ろを見、皇太子は平伏している桂枝にも労いの言葉をかける。
皇太子に声をかけられて、桂枝は恐縮しまくって言葉も出ない。

そんな桂枝に、皇太子の後ろから、葵がひょいと顔を出した。

「やぁ、久しぶり。桂枝、元気だった?」

「まぁ葵王様。ちょっとお目にかからない間に、何やらしっかりされたように思いますわ」