「そうですね・・・・・・。じゃ、あと五日ぐらい? あ、もうちょっとか」

「どれぐらいかかったのか、よくわからないよね」

葵も横から指を折って考える。
実際船で過ごしたのはどれぐらいだったのか、いまいち覚えていない。
朱夏も葵も、少し考えて、すぐに根を上げた。

「・・・・・・とにかく、もうすぐ父上が来られるってことよね」

再び嬉しそうに言う朱夏に、ネイトは笑う。

「お迎えの一団を、夕星様が率いる、という話も出たのですがね」

え、と朱夏はネイトを見た。

「このようなことがあったので、夕星様が、一刻も早く炎駒様にお詫びしないと、と仰って。でも、このようなことがあったからこそ、今朱夏姫様をお一人にして、長く離れるのも憚られるということで、断念しましたが」

「そうだね。アリンダ様は幽閉されているけど。やっぱり、夕星様が何日も国内にいないってのは、朱夏も寂しいだろ?」

いくら僕や憂杏がいてもさ、と言う葵に、朱夏は素直に、こくんと頷いた。
その朱夏に、葵はそっと身を寄せる。

「あのアリンダ皇子だけどね。どうやら、臣下に落とされるようだ」

こそっと朱夏に耳打ちする。
朱夏は少し目を見開いて、葵を見た。

「詳しいことは、まだわからないけど、まずは皇子の身分剥奪ってところかな」

「・・・・・・そんなことが、本当に?」

本気だったのだ。
皇子の身分がなくなったら、部屋への軟禁というような生易しい待遇でもなくなるだろう。
今後の処遇に、大きく影響する。