楽園の炎

「意外・・・・・・。苺鈴さんは、もっと大人な男らしい人がお好きなんだと思ってた」

「あいつに好みなんて、あるのかなぁ。まぁ、閨を共にするのは仕事だからな。相手は選べないか」

ぼんやりと葵を見ていると、突然小さな影が飛び出し、葵にしがみついた。

「あれっニオベ様」

しがみつかれた葵はもちろん、朱夏も驚いて声を上げた。

ニオベ姫は葵の袖を握ったまま、苺鈴との間に入り込む。
そこから伸び上がって机の上の商品を見ようとするニオベ姫に、葵は笑って姫を抱き上げた。

「ニオベ様も、何か気になるものがありましたか?」

「えっと。ねぇ葵様。あっちに綺麗な宝石があるの」

ちらちらと苺鈴を窺いながら、ニオベ姫は葵に抱き上げられたまま、少し離れたところにある商品を指差した。

「きらきらしてて、氷みたいなのよ」

「ああ、ニオベ姫様には、色とりどりの天然石のほうが、良いかもしれませんね」

にこやかに笑いながら、苺鈴がニオベ姫の指したほうへと、葵を促す。
それに少しニオベ姫は唇を尖らせたが、葵がニオベ姫を抱っこしたまま苺鈴に従うので、そのまま三人は少し移動した。

「ニオベの奴、葵王が気に入ったようだな。一丁前に、苺鈴に嫉妬してやがる」

「あ~、そういえば、そうだったわね。あら可愛い。葵もまんざらでもないでしょ」

あはは、と呑気に笑う朱夏の横で、少し夕星は真剣な眼差しを姪に向けていた。