楽園の炎

「全くあいつは、反省という言葉を知らんのか」

ぶつぶつ言いながら、空いた椅子に、どっかとかける。
そして、ちらりと夕星を見た。

「お前の婚約者、随分強いな。近衛隊の訓練に顔を出してきたが、朱夏姫がネイトと剣を合わせていたぞ。楽しそうで、安心した」

「まぁ、ネイトと。相当な腕前ですのね」

皇后が、感心したように言い、夕星は満足げに口角を上げた。

「アリンダですが・・・・・・」

一旦言葉を切り、皇太子は、ふぅ、とため息をついて、背もたれにもたれかかった。

「今まで同じようなことをしてきても、大して罰せられなかったでしょう。今回も、それと同じだろうと舐めてかかってます。暴行に加わった兵士は牢に繋いでありますが、アリンダは一応身分を考慮して、部屋に軟禁でしょう。それで安心しているようですね」

「・・・・・・馬鹿者が」

吐き捨てるように言ったのは、皇后だった。
最終的な決定権は皇帝にあるが、皇后だって、かなりの力がある。

その皇后の怒りを買ってしまった以上、あまり楽観はできないのだが。
アリンダは、皇后の怒りを買っていることに、気づいていないのか。