楽園の炎

「葵があたしを傍に置いてくれるのは、あたしが寂しい思いをしないようにしてくれてるだけだと思うよ。常に庇ってくれるのも、葵には、同年代の友達がいなかったから・・・・・・。それだけだと思う」

軽く走り出した馬の上で、朱夏は呟いた。
自分で言いながら、アルもユウと同じようなことを言っていたことを思い出す。

アルは以前から朱夏と葵を見ているが、ユウは葵に会ったこともない。
なのに、何故アルと同じように思うのだろう。

その疑問に答えるように、ユウが背後で笑った。

「朱夏は昔から王宮に勤めてるんだろうに、官職とかのことには疎いのか。まぁ、野心のない証拠だが。武官になる女自体が少ないが、王族のお付きとなれば、女なんて、まず無理なんだぜ。どれだけ剣技が巧みでも・・・・・・認めたくないかもしれんが、やはり力では男に敵わんからな。仕える王族を守ることが最優先の地位に、まず女はつけない。他にも傍に置く方法はあるしな。でも、朱夏の頭に、侍女になるなんて考えは、ないだろう?」

「何で侍女? 確かにそんなの、嫌だけど。ていうか、務まらないと思う」

ちら、と振り返って言う朱夏に、ユウがまた笑う。

「朱夏は、お姫様だったな。だったらなおさら、寵姫とするのが手っ取り早いか。何でそうしなかったんだろうな? 葵王も、お子様だったのかな。いや、きっと朱夏のことを想った上で、お付き武官として傍に置いたんだろう」