楽園の炎

「全くお前は、本当に目が離せないな」

城の中でも一際豪華な部屋で、皇帝陛下は何枚かの書類に目を通しながら呟いた。
横で皇后が、茶器からお茶を淹れている。

「明け方になって、お前の姿が部屋にないのに気づいたネイトが、慌てふためいておったぞ」

「アリンダのところに乗り込むよりも、先に朱夏に会いたかったんですよ」

窓の外を見ていた夕星が、悪びれた風もなく言う。
皇帝は書類を机に置くと、皇后の淹れたお茶に手を伸ばした。

「でも朱夏姫ももしかしたら、お前に会うのが怖いかもしれんだろう。ただでさえ慣れぬ地で、不安なときだ。すっかり男性恐怖症になっているかもしれん」

ちら、と夕星は、外に向けていた顔を皇帝に向けた。

「俺もちょっと、心配でしたけどね。・・・・・・経験者なんで」

「夕星様」

自嘲気味に言う夕星を、皇后が窘める。
そして、お茶のカップを勧めた。
それに応え、夕星も席につく。

「陛下。アリンダ皇子を、どうするおつもり? 今度のことは、今までの事件とは一線を画する大事ですわよ。れっきとした夕星様の花嫁を、式前に襲おうとしたのですから」

皇后が、厳しい表情で皇帝に言う。
わかっている、と皇帝も、眉間に皺を刻んで呟いた。

そして、夕星を見る。