楽園の炎

「んーん。ナスル様とか、アルに聞いたもの。近づけない程怖かったって。でもあたしは、会いたかった」

窓に縋り付くようにして言う朱夏に、夕星は微笑んだ。
間を阻むガラスがもどかしく、朱夏は再び鍵に手をかける。

「ねぇ、開けていいでしょ」

「・・・・・・でも、何か触れるのが怖いんだ。それこそ、めちゃくちゃにしそうで」

そう言って、夕星は少し窓から離れた。
このまま夕星が去ってしまいそうで、朱夏は鍵にかけた手に力を入れた。
かしゃん、と軽い音を立てて、鍵が外れる。

居間にいるアルたちに聞こえないよう、そっと朱夏は窓を開けた。
正面から、夕星と向かい合う。

「あたしは、あんなことされた後は、すぐにユウに会いたかった。あたしがここで、一番安心できるのは、ユウの傍だもの」

裸足のまま、一歩踏み出した。
冷たい夜気が吹き付ける。

夕星は少し躊躇った後、迷いを振り切るように、大きく踏み出した。
一気に間を詰め、朱夏を強く抱きしめる。

「・・・・・・朱夏! 無事で良かった」

強い力に、朱夏は、ふ、と息をついた。
苦しいぐらいだが、この上なく嬉しい。

朱夏も、夕星の背中に腕を回して、ぎゅっと抱きついた。