楽園の炎

僅かな風の動きに、朱夏は目を覚ました。
部屋の中はまだ真っ暗で、月明かりだけが大きな窓から注いでいる。
早々に寝入ってしまったので、まだ真夜中だろう。

ゆっくりと、朱夏は寝台の上で身を起こした。
じっと、窓を見る。

しばらくして、窓の外に影が動いた。
影はそのまま、窓に手をかける。

月明かりに照らされたその影に、朱夏は寝台から降り、近づいた。
窓を隔てて、影と向かい合う。

「ユウ」

鍵に手をかけた朱夏に、夕星は外から首を振った。

「・・・・・・そのままでいい」

「どうして?」

中から見上げる朱夏を、夕星は、じっと見つめた。
そして、朱夏が手をついている窓に、ガラス越しに手を重ねる。

「ごめんな」

ややあってから、ぽつりと夕星が呟いた。

「すぐに来なくて」