楽園の炎

神妙に、眉間に皺を刻んで言い、ちろりと朱夏に視線を落とす。

「朱夏姫様も、怒られるかもしれませぬなぁ」

ごくり、と朱夏の喉が鳴る。
周りの者が逃げ出すほどの怒りを向けられるのは御免被りたい。

が、怒られても仕方ないといえばそうだ。
セドナにだって、散々叱られた。
自分で言ったとおり、今回のことは、朱夏の責任なのだ。

青くなって固まる朱夏に、ネイトは、ははは、と笑顔を見せた。

「いやいや失礼。怖がらせてしまいましたな。ふふ、あんまり必死になられるものだから、つい苛めてしまった。お許しください。大丈夫ですよ、夕星様は、激情に任せて無体なことをするようなお人ではありません。注意はされるかもしれませんが、朱夏姫様を叱り飛ばすようなことは、まずしないでしょう」

「でも、叱られてもしょうがないな・・・・・・」

しゅん、と肩を落とす朱夏を、ネイトは少し苛めすぎたか、とちょっと後悔しつつ慰めた。

「ま、今回のことを肝に銘じて、朱夏姫様も自重してくださいよ」

ぽんぽんと朱夏の肩を叩き、ネイトは鍋からよそった具沢山スープを、朱夏に差し出した。
良い匂いが鼻を突く。

「朱夏姫様も、コアトルでは兵士の訓練に混じっていたとか。是非我らのお相手もお願いしたいところです」

「そうですよ。そうそう、我ら近衛隊は、全てが他の兵士とは別ですので、アリンダ様配下の者と鉢合わすこともありませんよ」

「鉢合わせたところで、今度こそはきちんとお守りしますが」

「そもそもアリンダ様配下の者といっても、彼を慕っているわけではありませんしね」

わらわらと朱夏の周りに兵士が集まって、賑やかな食事が始まった。