楽園の炎

「奴らには、直々にキツい罰を与えます故、何とぞお許しを」

ええっ! と、朱夏は飛び上がる。

「ば、罰って。あの、近衛隊のかたにですか? いえっ! とんでもない。ついていてくれたからこそ、あたしが助けを呼んだときに、すぐ来てくれたんです。罰されるようなこと、何もありませんって」

詰め寄る勢いで言う朱夏に、ネイトはきょとんとした。
が、すぐに、ちっちっと指を揺らす。

「何を仰いますやら。夕星様直々に、重々注意するよう言いつけられていたにも関わらず、姫君を見失うなど。まして、姫君はお怪我を負われたわけですよ? 手打ちにされても、おかしくはありません」

ひいぃぃっと、朱夏は青くなって悶絶する。
やはり大帝国の近衛隊は、規律が違う。
ゆるゆるなアルファルドの兵とは、比べものにならない厳しさだ。

「ああああたしも、勝手に抜け出したわけだし、近衛隊に落ち度はありませんよぅ」

何故か朱夏が泣きそうに懇願している。

「どんな状況だろうと、主君から護衛を命じられたかたがお怪我をされるような事態にまで陥ることなど、落ち度として十分です」

「そんなっ! 今回のことは、ほんとにあたしが軽はずみな行動をしたせいで、あたしの責任なんですよぅ」

ネイトに縋り付く朱夏に、やっと彼は表情を和らげた。

「そこまで仰るなら、朱夏姫様に免じて、軽い罰で済ませましょう」

「や、やっぱり罰するんですか?」

「ええ。でないと示しがつきませんし、何より朱夏姫様がお許しになられても、夕星様の怒りは収まらないでしょう」