小宮から兵舎までは、すぐである。
憂杏は兵舎の近くの小高い丘に建つ四阿(あずまや)に入った。
その間に、近衛隊の一人が兵舎に顔を出しに行く。
「ああ、良い気持ち。ちょっと高くなってるから、眺めも良いね」
椅子に座り、朱夏は吹き抜けの壁にもたれかかった。
風は少し冷たいが、今日は珍しく雨が止んでいる。
ちょうど黒い雲の間から、日が差している。
「あ、虹だぁ」
反り返って空を見ていた朱夏は、空にかかる大きな虹を指差してはしゃいだ。
「そういえば、ナスル様が、雨の季節のたまの晴れ間には、虹が出るって言ってた。ねぇ憂杏。憂杏とナスル様は、どうなってるの? 正式にお許しは出たの?」
虹を眺めながら、朱夏は隣に座る憂杏に聞いた。
憂杏は、さぁな、と首を傾げる。
「二度ほど、皇帝陛下と直接話したが。はっきり『許す』とは言われてない。そうこうしているうちに、今回の事件だ。今は、それどころじゃないだろうさ」
「でも今日も、呼ばれたんでしょ?」
顔を戻した朱夏に、憂杏は呆れたような顔をした。
「今日呼ばれたのは、そんなことじゃない。お前を初めに見つけたのが俺だから、状況説明に呼ばれただけだ。俺が呼ばれたら、お姫さんを置いて行くわけにもいかんだろ。実際、お前は襲われたんだし。だから連れて行っただけだ。ま、お姫さんも、皇帝陛下にいろいろ訴えてたがな」
憂杏は兵舎の近くの小高い丘に建つ四阿(あずまや)に入った。
その間に、近衛隊の一人が兵舎に顔を出しに行く。
「ああ、良い気持ち。ちょっと高くなってるから、眺めも良いね」
椅子に座り、朱夏は吹き抜けの壁にもたれかかった。
風は少し冷たいが、今日は珍しく雨が止んでいる。
ちょうど黒い雲の間から、日が差している。
「あ、虹だぁ」
反り返って空を見ていた朱夏は、空にかかる大きな虹を指差してはしゃいだ。
「そういえば、ナスル様が、雨の季節のたまの晴れ間には、虹が出るって言ってた。ねぇ憂杏。憂杏とナスル様は、どうなってるの? 正式にお許しは出たの?」
虹を眺めながら、朱夏は隣に座る憂杏に聞いた。
憂杏は、さぁな、と首を傾げる。
「二度ほど、皇帝陛下と直接話したが。はっきり『許す』とは言われてない。そうこうしているうちに、今回の事件だ。今は、それどころじゃないだろうさ」
「でも今日も、呼ばれたんでしょ?」
顔を戻した朱夏に、憂杏は呆れたような顔をした。
「今日呼ばれたのは、そんなことじゃない。お前を初めに見つけたのが俺だから、状況説明に呼ばれただけだ。俺が呼ばれたら、お姫さんを置いて行くわけにもいかんだろ。実際、お前は襲われたんだし。だから連れて行っただけだ。ま、お姫さんも、皇帝陛下にいろいろ訴えてたがな」


